〜いざという時のために〜

 平成17年12月10日、本郷地区センターにおいて、
「防災講座〜いざという時のために〜」
 が開催されました。参加したのは栄区各町内会の、民生委員など60人余り。神奈川災害ボランティアステーション主宰 鈴木幸一氏を講師に招き、ボランティアとして多くの被災地で体験して得た、いざという時の心得など、貴重なお話をうかがいました。

    講演後行われたグループワークでは、参加者が6つのグループに分かれ、自分の家庭で行っている防災への備えについて、話し合いました。

この講座は、     本郷中央地区福祉協議会、 本郷中央連合町内会、各自治会、 栄区社会福祉協議会、 本郷中央地区支え合い連絡会、 桂台地域ケアプラザ (順不同)     の共催協働福祉講座として行われました。


 鈴木幸一氏


レスキュースコップを紹介する鈴木氏


炊き出し袋で作ったご飯を試食▲
「あら、おいしいわね」▼


グループで話し合った内容を発表





左から野村、大野、青木の各氏


<講演内容>

 講師の鈴木幸一氏は長く日本赤十字の救急法指導員をつとめ、防災訓練や救護など防災関係のボランティアをおこなっています。また、平成3年におきた「雲仙普賢岳噴火災害」から阪神淡路大震災、宮城沖地震、新潟豪雨災害、昨年の新潟中越地震などボランティアとして多くの被災地に出向いています。また横浜市青少年育成協会の委員として青少年の育成にもかかわっています。

 講演中、鈴木氏の考案した「非常用炊き出し袋」を使って作った「炊き出し」を試食しました。「ひとたび地震が起きれば、3000人もの人が学校に集まってきます。学校に避難してきた人に一日3食分の準備ができますか。どうしたらいいでしょうか。この袋と、大鍋10個あれば大丈夫。鍋も汚さず、暖かいご飯が食べられるんです」。被災時に一番心配される食の確保について、被災しても日ごろの準備さえできていれば、支援を待たなくても自分たちができることがあると語ってくれました。また、道路の瓦礫撤去や除雪などの作業時に活用できるレスキュースコップ(角スコップ・1000円/本)の準備についても提言がありました。

 「大切なことは地域の人々が協力できる体制と、システムを確立することだと思います。全員参加の必要はありません。組織として『動き』を決めておくことが大切です」、ということで次の5点を挙げています。

◆ 緊急用炊き出しシステムの導入 
  (炊飯用機材、炊き出し袋の準備と備蓄など)

◆ 少年防災ボランティア養成プロジェクト
  (若者を訓練・養成することで大きな力になる)

◆リサイクル防災センターの設置 
  (不要の鍋、食器、衣類などを整理・保管)

◆ 被災地支援活動 
  (避難されている方々への支援、高齢者世帯への支援)

◆ 横浜・栄災害ボランティアネットワークへの参加推進

<グループワーク>

 参加者は6つのグループに分かれ、自分の家庭ではどんな防災準備をしているか、話し合いを行いました。枕元に「非常用持ち出し袋」を置いているとか、家具の転倒防止など多くの方が何らかの準備をしているようでした。中にはいつでも飛び出して行けるように普段着のまま寝ているという方もいらっしゃいました。

 最後に「わが町の防災対策」というテーマで、地域防災拠点の運営委員長である野村政晴氏(公田小地域防災拠点)と大野省治氏(桂台小地域防災拠点)、また、区役所総務課青木幸雄氏から報告がありました。

 野村氏からは備蓄庫の中に何があるのか把握しておくこと、普段からご近所の付き合いをしておくことも大事ではないか、大野氏からは自助(自分で身を守る)、公助(行政が行う防災)、共助(地域で行う防災)などについて、青木氏からは自分の命は自分で守ることを念頭に、日ごろから家族との話し合いや備蓄品の準備など、いざという時にあわてないようにしておくことが大切ではないかなど、話がありました。

 鈴木氏の実践に基づいたお話を聞きながら、「備えあれば憂いなし」ということわざがありますが、まさにその通りではないかと思いました。いつ起こるかわからない「大地震」ではありますが、一人ひとりができる備えについて、日ごろから隣近所とのコミュニケーションを大切にしておくことなど、考えさせられる有意義な講座でした。