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―取材記―
  この講座は、テーマをがらりと変えて「食」を採り上げた。
身体に与える影響を栄養士の側から、食材を供給する側の代表組織JAから神奈川の農業を、地産地消を実現するキーとなる地元の農家の、3方から食に対する取り組みを語ってもらった。
何故、「安全、防犯、防災、子育て」等の「町づくり」テーマに取り組んできた本中連が「食」を選択したのか聞き漏らしたが、かなりの方向転換だと感じた。
前回の講座で講師の方が、本中連が開催する講座を「タウンミーティング」的な講座だと論評されたが、本当の狙いは隠してあって、何回かの講座後に姿を現すのだろうと感じた。
●主催:本郷中央地区社会福祉協会、本郷中央地区支えあい連絡会、他
●共催:本郷中央連合町内会・自治会
●日時:平成22年10月9日(土曜)
●場所:本郷地区センター2F大集会室
(1)「心とからだの元気を増やす食」
<講師>栄区福祉保健センターの栄養士 鈴木礼子氏、
「食育」を中心に講義が有った。食育と言うと乳幼児や主として子供が対象だが、高齢者にも当てはまる事例を引いて話が進められた。まず、食事を作る事と出来合いを買って食べる事の違いだった。食事を作る動作は「五感」を刺激する事であり、「食材選びで見て」「匂いを嗅いで想像を巡らし」「切る時の音、煮立っている音を聴く」「味を見る事で味覚を刺激」「食材を触る事で、触覚を働かせる」と、「食」と「身体」の関連を説明して下さった。 出来合いを使う事の多くなった都会人が失う物を具体的に言葉にして、事の重要さを自覚できた。但し、時々乳幼児に関する話かと思ってしまう点が多く、参加者の年齢(高齢者が大多数だと思う)を意識して事例を引いて欲しかった。
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「食の原点は、家庭料理にあり」と言う アテネ五輪で野球チームの料理長を務めた野崎 洋光氏が書かれた小冊子。栄福祉保健センターに有ります。 栄区福祉保健センターの栄養士さんが何時も講座で使われる説明図。 栄区の健康作りグループを紹介した平成22年度版小冊子。32団体が詳しく紹介されています。栄福祉保健センターに有ります。
(2)「栄区の農業の実態」
<講師>JA横浜 農業振興課 顧問 河合正嗣氏
JA横浜で農業振興のお仕事をされている河合正嗣氏から、神奈川農業が、どの様な存在になっているかの説明が有った。消費地に隣接した都市型農業の特異性に関して幾つかの説明が有った。
●「こまつな」の生産量は全国1〜2位だと言うのには驚いた。長距離運搬には適さない野菜と言う事だろうか。
●何とキャベツも全国10位くらいの生産量だと言う。
●50%以上の農家が「直売」に力を入れていて、市内に200個所以上の直売所を開いているそうだ。正真正銘の地産地消と言える。裏の畑で抜いてきて販売するオンデマンド式の販売。これなら売れ残りを廃棄する事も少なくなり地球に優しい。でも無人販売所で無賃乗車するお客さんも居るそうだ、困った事だ。ちゃんと感謝を込めて払いましょう。
●住宅地に近いので噴霧器で農薬を撒けない。その影響で農薬の使用量が少ない。T恋キャベツの半分と言う。子どもたちの給食に地元の食材が多く使われ出した事。 ☆住宅地に隣接して農業をやってもらうと、散歩の時に気分が安らぐ効果もあるので、是非農地を減らさないで欲しいなあと邪な事を考えながら聴いていた。
(栄区の直売所)
「ハマッ子」栄警察署の大船より、9:30〜17:00、水曜・年末年始は休み。
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(3)「生産者からのメッセージ」
<講師>JA本郷支店野菜部役員 高橋勝美氏
栄区の野菜農家であり、JA本郷支店野菜部役員である高橋勝美氏から、「農家」の声を聞かせて頂いた。
●元々栄区の農家は「引き売り」で地元販売に力を入れていて地産地消は本来の姿だ。
●JA組織は最近になって販売(地産地消)に注力しだした。
●子どもたちと一緒に小松菜・ホーレンソーを育てる活動をしたところ、その感想文を読んで涙が出てきた。子どもが土をいじると言う事の意味の深さを改めて知った。
●農薬噴霧に代わる土中埋め込み農薬の話はショックだった。そんな手、アリですか?
●めずらしい野菜には農薬が使えない? その答は「規則が無いから」量ゼロが正解。TVなら大拍手もの。では規則が有れば限度一杯まで使うのかしら? ご安心下さい、高橋さんは減農薬有機栽培を心掛けているそうです、安心した。

(注)本中連とは、本郷中央地区の「支えあい連絡会」、地区社協、連合町内会等を言う。
(取材 Neri.)