私たちが身近に介護者を抱えた時や、自分自身が高齢期を迎えた時に必要な知識を持つて頂く為に講座を作ってみました。今回は、介護に関心をもっていらっしゃるすべての方を対象に、地域に密着した介護の情報や基礎知識が得られるよう企画いたしました。直面した時、介護する人、される人が共に安心して生活を送れるよう、毎年1回は行う定例の講座です。
日 程 表
日時内容講師
平成19年
1月26日
  介護保険の利用の仕方
〜どうしますか?介護が必要になった時〜
栄区サービス課高齢者支援担当
 &nbsp係長 小澤理恵氏
1月29日  在宅のサービスについて
介護サービスの種類と費用について学びましょう
桂台地域ケアプラザケアマネージャー
 &nbsp勝呂朋子  河辺直子
2月01日  施設入所のサービスについて
どんな所? 申し込みの仕方は? どんな方が利用出来ますか?
屏風ヶ浦地域ケアプラザ所長
 &nbsp片山聖子氏
2月05日  共に支えあい、助け合う街づくりをめざして
住民相互の助け合いが大きな役割を果たしています
桂台地域ケアプラザ
 &nbsp包括支援センター &nbsp多次淳一郎
 &nbspさわやか会   小和田 &nbsp孝氏
 &nbspひだまり三火 &nbsp松本 &nbsp輝弘氏
2月09日  〜公開講演会〜  介護講談
女流講談師
 &nbsp田辺 &nbsp鶴英氏(真打ち)
第1回
1月26日
介護保険の利用の仕方
〜どうしますか?介護が必要になった時〜
栄区サービス課高齢者支援担当
 係長 小澤理恵氏

  会場は当然ながら殆ど高齢者だ、受講者は男性11名、女性22名と男性受講者が少ない。
介護保険の制度・サービスの受け方・介護予防と専門家の説明は分かり易い。講演の終わるのを待ちきれず沢山の質問が飛び出し介護保険に対する関心の高さを感じた。

1 なるほど納得!介護保険
◎ 介護サービス利用までの流れ
(1)要介護1〜5の認定を受けた方は介護保険の介護サービスを利用できます。
(2)要支援1〜2の認定を受けた方は介護保険の介護予防サービスを利用できます。 (尚、ケアプランの作成や、サービスの利用にあたっては、それぞれ事業者・施設との契約が必要です。)
(3)自立(非該当)の認定を受けた場合は横浜市が行う介護予防事業を利用出来る場合があります。
2 介護保険サービス
◎ サービスを受ける前にケアプランを作成します
(1)要介護1〜5の認定を受けた方でも「在宅生活の継続を希望」する方と、「施設入所を希望」する方では手続きが違うので区役所の窓口や地域包括支援センターで相談すること。
(2)要支援1・2と認定された方は地域包括支援センターで介護予防ケアプランを作成し、事業者と契約や利用の決定しサービスの利用が出来る。
(3)市町村の介護予防事業(65歳以上の高齢者が対象)基本健康診査等を通じ生活機能が低下し、介護が必要になる可能性が高いと判定された高齢者のうち地域包括支援センターが介護予防アプランを作成した方を対象にした転倒骨折予防や口腔機能向上、認知症の予防を目的とした介護予防教室を市町村が実施する。
3 元気なうちから介護予防
◎ 介護予防とは、高齢者が、みずから
(1)介護を必要とする状態になることを未然に防ぐこと
(2)介護が必要でも、できるだけ身体の機能を維持・改善することを目指します。
◎ いつまでも自分らしさを保つためには?
年齢とともにあらわれる「老化」はある程度仕方ないこと。そのまま放つておかず、日常生活のおける障害や危険な老化のサインを早期に発見し、対応をしていくことが大切です。
◎ どのようにしたら介護予防プログラムを利用できますか?
(1)基本健康調査(生活機能評価)を受ける。
(2)地域包括支援センター又は区役所に相談する。
◎ 地域包括支援センターはどこにあるの?
横浜市では、高齢者が住み慣れた地域で生活を続けられるよう、地域ケアプラザと一部の特別養護老人ホームに、地域包括支援センターを設置しています。
尚、1,2,3の太字で書かれたタイトルは横浜市が発行しているパンフレット(小冊子)の表題です。栄区役所で入手出来ますのでご利用下さい。
(鈴) 以上
第2回
1月29日
在宅のサービスについて
介護サービスの種類と費用について学びましょう
桂台地域ケアプラザケアマネージャー
 &nbsp勝呂朋子  河辺直子

  第2回介護者教室は、在宅でサービスを受けた場合のサービスの種類と費用について、 ケアマネージャーの勝呂朋子さん、河辺直子さんからお話を伺いました。
参加者は50代、60代の男女、40人あまりで、夫婦で参加の方や、実際に老親の介護に直面されている方もいて、事例を基にしたお話に質問も多く出され、熱気にあふれた教室となりました。 勝呂朋子さんから先回のおさらいの話の後、河辺直子さんより、事例を参考に介護サービスの種類と費用の説明を受けました。
■事例:梅子さん(要介護3 75歳女性 夫と二人暮らし)
パーキンソン病で、一人で外出、買い物はできない。家では手すり、杖歩行。
排泄は自分でできるが、入浴は介助が必要。調理も一人ではできない。
<受けているサービス>
・デイサービス   2回/週
・ショートステイ  1回/月(3泊4日)
・通所リハビリ   1日/週
・訪問介護サービス (調理、掃除、洗濯など) 3回/週
以上のサービスに別途、食費、ショートステイの部屋利用料、教養娯楽費が加算されて、約31,800円になります。
■事例:竹男さん(要介護4 80歳男性 息子夫婦と同居、夫婦は就労)
脊椎圧迫骨折で、介助があれば歩けるが、一日中ベッドですごしている。排泄はオムツ。入浴は介助が必要。認知症状があるが、日中は一人で過ごすことができる。
<受けているサービス>
・デイサービス   3回/週
・ショートステイ  1回/月(6泊7日)
・訪問介護サービス (排泄介助、おむつ交換、家事支援など) 9回/週
以上のサービスに別途、食費、ショートステイの部屋利用料、教養娯楽費が加算されて、約41,000円になります。
■ 事例:松雄さん(要介護5 85歳男性 妻と二人暮らし)
老人性うつ病。誤嚥性肺炎を発症後、現在寝たきりで、一人では寝返りも打てない。じょくそうあり。食事、入浴、介助が必要。
<受けているサービス>
・訪問入浴  1回/週
・福祉用具貸与 (車椅子、特殊寝台、特殊寝台付属品、床ずれ防止用具)
・訪問看護  5回/週
・訪問介護サービス(通院介助) 1回/月
・訪問介護サービス(おむつ交換、家事支援など) 10回/週
以上のサービスで、約37,600円になります。
■事例:雪さん(要介護1→要支援2 85歳女性 長男夫婦と3人暮らし)
4年前から下肢の筋力が低下し、外出が少なくなり、部屋で横になっていることが多くなった。
<受けているサービス>
・介護予防通所介護(デイサービス)   2回/週
以上のサービスに別途、食費が加算されて、約11,000円になります。 (要支援1・2の場合は月単位で利用料が決められている)
■ 事例:花さん(要介護1→要支援2 80歳女性 一人暮らし)
3年前から腰痛や膝の痛みがあり、一人で家事はできない。できるだけ自分で行っているが、膝を曲げたり、長い時間立っていることはできない。
<受けているサービス>
・介護予防訪問介護(家事支援)   1回/週  約1,300円になります。

◆受講者との主なQ&A
Q  ショートステイの期間は?
A  連続30日を超えてはいけないという規程がある。

Q  在宅で介護している人が急病になったとき、ショートステイは利用できるのか?
A  地域の施設のショートステイを利用できればいいけれど、順番があって、希望通りにはいかない。緊急の場合は特に難しい。横浜市には緊急の場合のショートステイを受け入れる施設が13ヵ所あるので、場合によってはそちらを紹介している。

Q  事例の松雄さんの場合、要介護度5で、在宅で介護するのはとても大変だと思うが、施設への入所は無理なのか?
A  この事例では本人も家族も在宅介護を望んでいる。介護プランはできるだけ家族、本人の意向を優先して立てている。またこのように大変な介護を担う家族を支えるために、ヘルパーをうまく利用したり、24時間ヘルパーステーションなどもあるので、困ったときは地域の地域包括支援センターに相談してほしい。
(佐) 以上
第3回
2月01日
施設入所のサービスについて
どんな所? 申し込みの仕方は? どんな方が
利用出来ますか?
屏風ヶ浦地域ケアプラザ所長
 &nbsp片山聖子氏

介護保険制度のもとで受けられるサービスは、大まかに分けると2つの種類に分けることができます。

◆一つは「在宅サービス」。これは介護される方が家庭で生活しながら受けることができる介護サービスです。
◆そして、もう一つは「施設サービス」。介護される方が施設などに入所して、そこで生活しながら受けることのできる介護サービスです。

  今回の講座では、「施設サービス」について、屏風ヶ浦地域ケアプラザ所長の片山聖子さんからお話をうかがいました。片山さんは昨年度の「介護者教室」に続き、2度目の登場。はぎれのよい口調と簡潔明瞭な解説には定評があります。また、同氏は昨年10月まで約7年間、栄区公田町にある特別養護老人ホーム「クロスハート栄・横浜」の施設長を務められていたこともあり、栄区の高齢化の実情についてもたいへん詳しい方です。

  一般に「老人ホーム」とよばれる高齢者施設にも、さまざまなタイプがあります。すなわち「特別養護老人ホーム」、「老人保健施設」、「有料老人ホーム」、「グループホーム」、「療養型病床群」、「養護老人ホーム」、など。片山さんからは、それぞれの施設の特徴について詳細な説明があり、一つひとつの施設ごとに
@「いつから入れるのか?」、A「誰が入れるのか?」、B「なぜ施設に入所するのか?」、C「入所の条件は?」、D「入所申し込みの方法」 &nbsp等の解説がありました。

  また、施設に問合せをする際の注意点見学の時にチェックすること契約時に気をつけたい点そして家族が入所した後の施設との良い関係づくりのポイント、についてのアドバイスもあり、40名にのぼる受講生からは「とても分かりやすく、参考になった」との声がたくさん聞けました。
(石) 以上
第4回
2月05日
共に支えあい、助け合う街づくりをめざして
住民相互の助け合いが大きな役割を果たしています
桂台地域ケアプラザ
 &nbsp包括支援センター &nbsp多次淳一郎
 &nbspさわやか会   小和田 &nbsp孝氏
 &nbspひだまり三火 &nbsp松本 &nbsp輝弘氏

介護保険は決して万能な制度ではありません。地域の実情にあわせた住民相互の助け合いが大きな役割を 果たしています。桂台地域の介護にまつわる実状と支え合いの取り組みが紹介されました。
●介護保険と桂台、公田地区の支え合いの現状について
桂台地域ケアプラザ/包括支援センター 多次淳一郎 氏
・介護保険制度の現状
現状の介護保険制度は、自立支援指向型、補完型、全国一律型のもので、必要とされる サービスを十分に受けられるような状況にはありません。  
・超高齢化社会の到来
先人が経験したことのない超高齢化社会を迎えつつあり、2002年に全国で150万人の 認知症の方が2025年には320万人(65歳以上の人7人に1人の割合)になると予想され、当然介護のための施設(ベッド数など)の確保が問題となりますが、これに対応するのは、不可能と予想されます。
・桂台、公田地区の現状について
丘陵地で坂が多く、公共移動手段が少なく遠方への外出が困難な土地柄である一方、高齢化は急速に進んでおり、10年後には高齢化率(65歳以上の率)が50%を超えると予想されます。
・地域支え合いの必要性と現状
介護保険が頼りにならないとすれば、「自分のことは自分や家族で」が基本ですが、これにも限界があり、 年老いたときの生活圏となる地域全体で支えあうことが最も大事なこととなります。桂台地域は、支えあい活動が全国規模で見ても最も進んでいる地域の一つであり、お弁当配食サービス、会食会・交流サロン、健康づくり活動、送迎サービス、家事手伝いなどの住民手作りのサービスが実施されています。

●支え合い活動紹介
手作りのサービスを提供している会を代表して二つの会の活動紹介がありました。
◆さわやか会  小和田 孝 氏
・開催日  月2回第1,3金曜日、桂台地域ケアプラザで開催
・会費  500円/月
・活動内容
先生の指導の下、軽体操などの運動をします。最高令89歳を含め会員は28人、 気色が良くなり、若さがよみがえり、歩行や人との会話が楽しくなったなど、喜び    の声が多い楽しい体操サークルです。
◆ひだまり三火  松本 輝弘 氏
・開催日  毎月第3火曜日、桂台地域ケアプラザで開催
・会費  500円/1回
・活動内容  
会員は23人、利用者は平均83歳、利用者の中から先生をお願いし、墨絵、絵手紙、音楽鑑賞、フラダンス、楽器演奏、手品など声を出し、体を動かす内容の多彩なイベントを実施し、昼食は会員の手作り料理を楽しみます。集まって楽しく会話が弾ませ、さっぱりとした気分で家路に着くことのできる楽しいミニデイサースです。
(内) 以上
第5回
2月09日
介護講談『認知症寝たきり義父の介護真っ最中』
介護の本音語ります
女流講談師 田辺鶴英氏

●介護を人前で語ろうとすると、どうしても綺麗な言葉で話してしまう。本音は20%も出さずに、聖人君子か教育者になったような言葉を使って語る事が多い。ところが。女流講談師の田辺鶴英さんの手に掛かると言うか口に掛かると、本音がズキズキと出てくる。ご本人は既に2人の介護を経験し、現在3人目の義父の介護中。この義父は介護の中でも最も困難と言われる認知症なのです。「助けてくれー!、助けてくれー!」と夜昼構わず怒鳴り続ける義父。3軒先まで聞こえてしまう大声。語る事語る事1時間半の持ち時間をフルに使って、本音を出し続けるのです。聞き入る受講者の頭は頷きで揺れ口からは同意の声が漏れて来るのです。
●先ず、実の母の看護、結婚して夫の母(義母)の看護、そして現在認知症を患っている義父の看護を赤裸々に語る。包んだり隠したりしない。感じたままを、かなり露骨な言葉で語る。ここには一寸そのまま書くのが憚られる言葉が続く。少しだけ餃子の皮で包んで書く事にしよう。
◆医者は選ぶ時代。
掛かっている医者が延命治療を優先する様なら替えた方が良い。
こちらの本音を聞いてくれて、患者本人が本人らしく生活して行ける様な治療を考えてくれる医者を選ぶ事が大切。後で治療に関して裁判になるのは、信頼できる医者を選んで無かったという事になる。
◆百歳近くなったら好きな生活をさせろ。
これだけ生きてきた実績から、健康のために減塩料理や油を控えた料理など必要ない。本人が好む料理を食べさせて問題ない。
◆義父も義母もしょせんは他人。
遠慮せず看護している自分の考えをぶっつけてしまおう。癪に障ったら怒ってよい。内に秘めて悶々としていると、相手(看護を受けている方)も察して悪い方悪い方に進んでしまう。時には大声で罵り合う喧嘩もしてみよう。
◆自分の考えだけを押しつけるな。
良かれと思って散歩に連れ出した義母が逆切れの失敗談。夫の理解で何とか解決したが、血の繋がった身内でないと理解出来ない事も多い。その人その人に生い立ちがあるのだから、所詮は他人の私が分からなくても無理からぬ事。
◆口から食べる事は大切な事。
無理をしても口から食べさせると、回復した例を体験。咀嚼が患者の幸せ感を増幅してくれる。好きな物を好きなだけ食べさせろ。少々の栄養バランスなど無視せよ。
◆介護保険の不合理。
徘徊が2で寝たきりが5とは、どんな計算で出てくるのか。徘徊される家族の辛さは寝たきりの何倍も辛い。夜もなく昼もなく、おちおちと寝ていられない。だからと施設に預けると、もっと病状は進んでしまうと田辺講談師は言う。看護の期間が短いと思ったら、自宅に引き取るのが一番良いと思う。預けてしまって後悔しても後の祭りだと思う。

◆田辺講談師さんは、
杉並在住。全国を駆けめぐる売れっ子講談師で協会も求める真打ち。この方が、それだけ人気が有ると言う現実は、看護をしている人達(介護者)、看護を書いた書物などが、如何に本音を言わず、綺麗な言葉だけで表現していると言う事実を現しているからだろう。
(錬) 以上