だれもが介護に直面するこの時代、一人で介護を背負い込まないで、地域の中で助け合って、介護する人、される人が共に安心して心豊かに暮らせる”老後の知恵”を、もう一度プラス思考でご一緒に学んでみましょう。
日 程 表
日時内容講師
平成21年
2月18日
  [公開講座]
「女の活路、男の末路!」
●今老いを語るもう一つのキーワード「女と男」
●男性シニアへ温かいエールを
お茶の水女子大学名誉教授
シニア社会学会 会長
 袖井孝子氏
2月19日  「介護保険の利用の勘所をわかりやすく!」
〜どうしますか 介護が必要になった時〜

●栄区の介護保険サービス
栄区役所サービス課
介護保険担当係長
近藤二郎氏
2月25日  「桂台地域ケアプラザってどんなところ!」
〜ケアプラザ利用なんでも百科〜
●デイケアサービスの一日
桂台地域ケアプラザ職員
 勝呂 朋子氏
2月27日  「老後の快適ライフスタイルを求めて!」
〜おすすめ施設を豊富な事例とともに徹底紹介〜
●現役ヘルパーが教える老後の知恵
●あなたは「ひとり」で最期まで生きられますか?
藤沢市NPO法人シニア住まい塾
相談員
栗原 道子氏
3月04日  「住み慣れた家や地域で健やかに共に老いる!」
〜地域の介護体験者と話そう介護のいろいろ〜
●地域の中で助け合ってくらす
地域の介護体験者
包括支援センター職員
第1回
2月18日
  [公開講座]
「女の活路、男の末路!」
〜老いの時代を生き抜く力〜
お茶の水女子大学名誉教授
シニア社会学会 会長
 袖井孝子氏
 かつて、私たちは家族の中で老いを迎え、老後を家族とともに過ごしました。介護は家族の責任で、肉親や親族が助け合い、互いの暮らしを支え合うのは当たり前のことでした。そして、その頃、「老後の期間」はそれほど長くはなかったのです。  しかし、今日本は前例のない超高齢社会を迎え、社会の構造も大きく様変わりしました。核家族化が進み、子が巣立った後の夫婦のみ世帯(「おふたりさま」世帯)や、伴侶を亡くした高齢者の単身世帯(「おひとりさま」世帯)が増え、またともに高齢の二世帯同居家族の「老老介護」、夫婦とも認知症の「認認介護」といった社会現象も珍しいことではなくなりました。そして高齢化と同様にこの国では晩婚化・未婚化傾向も極めて短い期間に進み、最近では老親と未婚の子どもとの同居世帯が急激に増えつつあるようです。  人生85年時代を迎え、長い老後をどのように暮らすかが、今一人ひとりに問われています。  桂台地域ケアプラザ恒例の今年度の「介護者教室」では、「一人きりで介護をしないために〜地域で支えあう介護」をテーマに「男性が直面する介護」に焦点を当て、全5回にわたる講座を企画しました。  第一回目の公開講座では、お茶の水女子大学名誉教授の袖井孝子先生を講師にお招きし、「女の活路 男の末路〜老いの時代を生き抜くチカラ」と題して、家族社会学・老年学の見地からお話を伺いました。いくつかのキーワードとともに講座の概略についてご紹介します。

◆老いのとらえ方は男女で違っている
・老いのとらえ方には2種類あり、一つは「外部が決める客観的な老い」で、学問的に分けられた統計上の区分。すなわち、日本を含む先進国では65歳以上を高齢者と呼び、65〜74歳を「前期高齢者」(アメリカの老年学術用語ではyang old)、75歳以上を「後期高齢者」(同old oldを後期高齢者と乱暴に訳して、年齢差別ではないかと大不評を買ったため、福田先首相は慌てて「長寿高齢者」と言い直した)と分けている。また、日本では社会的あるいは慣習的な年齢の節目として、厄年や、還暦、喜寿、古希、米寿などといった呼び方もある。
・もう一つのとらえ方は、「自分で決める主観的な老い」で、こちらは個人差、性差が大きい。現在、日本人の平均寿命は女性が85.99歳、男性が79.19歳と女性の方が約5年長生きであるにもかかわらず、「私はもう年だから・・・」との老人・老性自覚は女性の方が圧倒的に早く訪れる。女性は容色や容貌、体型の変化などに老いを感じるが、男性は仕事やそれまでの活動が思うようにできなくなった時、老いを実感する。この違いは社会的な性別役割分業がもたらした「外見によって評価される」女性と「仕事の業績によって評価される」男性との違いから生じている。
◆女はなぜ長生きなのか
・発展途上国では出産による高死亡率や多産などの要因により、女性の寿命が男性の寿命より短いが、すべての先進国においては、女性の方が長生きとなっている。これはメスが子孫を残すという機能を持っているため、また、オスに比べるとメスの方が環境条件の変化に適応しやすいためと考えられる。アメリカの老年学者ロバート・バトラーによれば、女性の長生きの要因の6割は先天的生物学的要因によるもの、残りの4割は後天的社会文化的要因によるもの だそうだ。
・「男は外で責任ある仕事、女は家庭と子育て」といった性別役割分業社会においては、男性の方がはるかにストレスを受けやすい。現在年間3万人を超す日本の自殺者のうち、一番多いのは中高年の男性で、リストラや倒産、借金問題など仕事絡みの理由によるものが圧倒的に多い。一方、この年齢層の女性の自殺者は少なく、その原因も家族や親子問題など人間関係が主となっている。
・長生きは幸せか:日本女性の平均寿命は世界一の86歳に達し、2009年に3万人を超すと見込まれる100歳以上の人口のうち約85%を女性が占める。しかし、元気で自立して暮らせる女性の「健康寿命」は78歳と言われており、人生の最終期の7〜8年は要介護状態となるケースが多い。長寿社会はめでたいが、要介護者となり病みながら生きる期間もまた長い。
◆定年後夫婦について
・2007年を皮切りに団塊の世代が続々と定年を迎えているが、セカンドライフへの期待や夢が夫と妻ではあまりにも食い違っているケースが少なくない。男性はロマンを求め、女性は現実を直視する。妻が「夫在宅ストレス症候群」に陥らないためには、夫も妻も自立と連帯、そして何よりも夫婦間のコミュニケーションが大切。
◆サンドイッチ世代の悩み
・晩婚化・未婚化傾向に歯止めがかからない。「2005年の国税調査」の結果によると、25〜29歳の女性の未婚率は59%。一方、男性は71.4%で、30代前半でも5割近くが結婚していないことが判明。また、2007年に行われた内閣府男女共同参画会議の55〜74歳の男女を対象とした聞き取り調査では、3人に一人が30代を中心とした未婚の息子や娘を抱えていることが判った。
・現在、親世代の介護に携わっているのは60代が中心だが、親の介護問題ばかりでなく、なかなか自立しない子どもの悩みもあわせ持つ「サンドイッチ世代」が増加している。
・介護の期間も長期化の傾向にある。NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」の調査では、過去10年間に一人の高齢者の介護に要する年数が平均3年から7年に延びている。介護者の8割は女性だが、男性による介護も増加している。
・1980年頃までは一般世帯全体に占める3世帯同居世帯が約半数あったのが、現在では20%を下まわり、今後さらに減少する可能性も強い。代わって夫婦のみ世帯や単独世帯の増加が顕著となっている。したがって介護も「同居の長男の嫁の仕事」の時代はとうに終わり、今では「配偶者介護」が主流となっている。また、元気な高齢者に向けた「誰に介護してほしいか」とのアンケートでも、一位は配偶者、次いで娘あるいは息子、ヘルパーの順で嫁による介護は最下位となっている。
・男性の介護は現役時代に子育てや家のことをすべて配偶者にまかせっきりにした申し訳なさや恩返しといった後悔の念を抱きながらの介護が多く、故に優しい。また、介護の方法にも男性ならではの知恵や工夫が生かせる。
・最近、社会問題として目立つのが息子の在宅介護。実際の介護の1割にも満たないが、高齢者虐待の3分の1は個人的にも様々な問題を抱える息子による身体的虐待のケースとなっている。
◆孤立しがちな一人暮らしの男性
・一人暮らしの高齢者ばかりでなく、最近では50〜60代前半の男性の孤独死が急増している。ひきこもり、近所付き合いも全くなく地域で孤立している男性が少なくない。どこに相談すればよいのかといった情報も届きにくい。地域で一人暮らしを支えるネットワークが必要。
◆老若男女共同参画社会を目指して
・少子高齢社会の到来は急激な勢いでこの国の家族のかたちを変え続けている。男性も女性も伝統的な性別役割分業や世代間の対立を超えて互いに助け合い、協調と協働によって誰もが暮らしやすい老若男女共同参画社会の実現をめざしたい。
第2回
2月19日
  ●介護保険の利用の勘所をわかりやすく栄区役所サービス課
介護保険担当係長 近堂 二郎氏
 高齢化率が7%で高齢化社会、14%を超えると高齢社会と呼ぶそうで栄区は24%を超えているとの説明がありました。
介護保険を利用する場合、介護認定を受けなければなりません。申請は区役所、地域ケアプラザで受け付けています。介護認定されると、要介護度によって利用できるサービスの内容や利用限度額が変わります。詳しくは「総合案内パンフレット」で確認して下さい。
介護認定されなかった場合はサービスは受けられませんが、現在の健康を維持・向上するための「介護予防事業」などの利用が可能です。まずは、地域ケアプラザ(包括支援センター)で相談してみましょう。(本田 桂子)
当日のテキスト(いずれも区役所にあります)
第3回
2月25日
  「桂台地域ケアプラザってどんなところ!」桂台地域ケアプラザ職員
ケアマネージャ
勝呂朋子、八巻佳奈子
横浜市全18区におけるケアプラザの総数は現在111館。栄区内ではここ桂台の他に、中野、豊田、笠間、小菅ヶ谷の各地域ケアプラザに加えて、本年4月に第6館目として「野七里地域ケアプラザ」がオープンの予定となっている。
 市内を車で移動すれば各所でケアプラザの看板を掲げる立派な建物が目に入るが、横浜が誇るこの福祉施設が担う役割は一体、何なのだろう。勝呂朋子主任ケアマネージャーより具体的な説明が行われた。
1.地域ケアプラザの4つの機能について
(1)地域包括支援センター:地域の身近な相談窓口として、社会福祉士や主任ケアマネージャー、保健師などの専門職員を配置し、福祉・保健に関する相談を受ける。
(2)地域交流部門:各種講座の開催やボランティアの育成・支援、貸館事業など、地域住民の福祉・保健等に関する活動や情報交換・相互交流を行う。
(3)居宅介護支援部門:介護保険についての専門相談、申請の代行、ケアプランの作成を行う。
(4)デイサービス:送迎つき日帰りで高齢者が食事・入浴・レクリエーションなどを楽しむ社会交流活動の場。
2.ケアマネージャーの仕事とは?
(1) 介護を必要とする人や家族の相談や助言を行う。
(2) 利用者の心身の状態に応じた居宅サービスまたは施設サービスを利用できるようにケアプラン(介護サービス計画)を作成する。
(3) サービス提供事業者への連絡や手配を行う。
桂台地域ケアプラザでは、上記のサービスを円滑に遂行するため、5名のケアマネージャーが年間360日態勢で次のような日常業務にあたっている。
(1)ひと月に一回以上、利用者宅を訪問し、利用者の心身状況やサービス計画の実施状況を把握し、記録する。
(2)ケアプランの内容を利用者またはその家族に対して説明し、文書により同意を得る。また、そのケアプランを利用者およびサービス提供事業者に交付する。
(3)介護給付明細書・給付管理票の作成・請求。
(4)ケアプランを作成する時や要介護認定の更新・変更の場合に、サービス担当者会議(利用者や家族、ケアマネージャー、各サービス提供責任者が一堂に会して、ケアプランの内容やケアの仕方などについて話し合うこと)を開催する(月4〜8件)。
 次いで、八巻佳奈子ケアマネージャーから、在宅でいろいろな種類の介護サービスを受けた場合どのくらいの費用がかかるかについて、二つの事例を挙げながら説明が行われた。
◆事例−1:Aさん(要介護2、女性)
〈概況−自宅での入浴困難。一時食欲不振で入院。医療的な見守りが必要。今後も在宅生活の維持を希望〉 【在宅サービスの内容】
 ・デイサービス 週2回
 ・訪問看護サービス 週1回
 ・福祉用具貸与(特殊寝台、特殊寝台付属品、歩行補助つえ)  以上のサービスで利用者負担額は月12,700円。(別途、デイサービスでの食費は実費負担)
◆事例−2:Bさん(要介護5、男性)
 〈概況−認知症により身体の機能低下も見られる。夜間の尿意が頻繁にあり、介護者が睡眠不足となっている〉
【在宅サービスの内容】
 ・デイサービス 月1回
 ・デイケアー 月4回
 ・ショートステイ 3カ所、合計月17泊
 ・送迎サービス 月6回
 以上のサービスで利用者負担額は月27,680円。(別途、デイサービス、デイケアーおよびショートステイでの食費は実費負担)

休憩をはさんで、講座の後半は桂台地域ケアプラザでのデイサービスの一日の流れについて、佐藤雄哉・川田智子デイサービス各相談員よりビデオ映像による紹介があった。
9:00〜10:00送迎車でお迎え、お茶休憩、健康チェック(体温・血圧・脈拍)、入浴 (女性)
10:30プログラム活動(体操、音楽、手芸、書道、囲碁、将棋など)
11:30〜12:00昼食
12:45入浴(男性)
13:00フリータイム(休養、談話)
趣味活動(音楽−オカリナ・ウクレレ・マンドリン・大正琴、絵手紙、絵画、
壁画、貼り絵、詩吟、俳句、百人一首など)
14:00午後プログラム(大勢で行えるゲームなど、運動、頭脳ゲーム、特別プログラム、料理、生け花、お茶、お琴など)
15:00お茶とおやつ
機能訓練(柔道整復師による指導)
16:05〜17:00送迎車で帰宅
また、当ケアプラザのデイサービスの特徴として、プログラムが多岐にわたってたいへん充実していること、ボランティアが多いこと、地域(近隣の保育園、小・中学校の児童・生徒やボランティアグループ)との交流活動が活発なこと、などの説明も付け加えられ、第3回目の講座は締めくくられた。
第4回
2月27日
  「老後の快適ライフスタイルを求めて!」藤沢市NPO法人シニア住まい塾
相談員 栗原 道子氏
 桂台地域ケアプラザ主催「平成20年度介護者教室」全5回シリーズのうちの第4回目は「老後の快適ライフスタイルを求めて!」と題する講演会。
現役ヘルパーで藤沢市NPO法人 シニア住まい塾相談員の栗原道子さんを講師にお迎えして、おすすめ施設を豊富な事例とともに徹底紹介していただいた。
2月27日の寒空のなか、桂台地域ケアプラザ2階会場は男性7人、女性32人の熱心な方々39人が真剣な眼差しで話に聞き入っていました。参加者の多くはそろそろ自身の老後を考える時期にさしかかった方々とお見受けしましたが、なかには高齢者を抱えて施設選びのヒントを得たいと参加された比較的若い方々も参加しておられました。


 一口に施設選びといっても、施設は千差万別。高額な有料老人ホームはさておき、一般的な有料老人ホームにも住宅型や介護付、特別養護老人ホームなどがあり、また、社会福祉法人が主体となって運営するケアハウス(自立支援型、介護型)、軽費老人ホーム、グループリビング、国や市区町村が建設費の一部を負担してできた高齢者向け有料賃貸住宅、要介護認定を受け家庭復帰をめざしている人の入る老人保健施設などなど、さまざまな施設があるそうです。いずれの施設も特色はそれぞれ違いがあり、また、デメリットもあることを知っておくことが大切なようです。その上で身体の情況、家族・友人などの周辺事情、経済状態などそれぞれの事情を踏まえて、どのような施設を選ぶかの判断が求められます。


 65歳で退職した当初は退職金や蓄えがあるので2000万円のマンションもいいが、75歳位になると500万円で探すようになる。本当は在宅でいたいが介護度が高くなると1人では生活ができなくなる。電話がとれない、食事ができない。こういうことが現実の問題として起きてから「どうするか」を考えたのでは後手になってしまう。栗原先生は自分のお金で入居金や月費用の判断ができるとき、自分の身の丈にあった施設を自分で歩いて確かめられるときに「どうするか」を決めるのが大切だと強調しておられました。その時期は理解力、判断力、決断力が衰える前、75歳くらいが目安だそうです。


 また、部屋は元気なうちは広い部屋を希望するが、伝い歩きをするようになると狭い部屋のほうが却って現実的。狭い老人ホームに入るには荷物の処分も大切で、元気なうちに不要なものは処分しておくべきだそうです。グループリビングなどは小人数がいいと思う人もいるが、何か気まずいことが起きると逃げ場がなくなるマイナスがあり、かえって大勢の方が逃げ場があってよい。濃い付き合いは時には考えもので、付き合いの場は共同のスペースで行い、相手の部屋には入らないことが大切だとか。何かが無くなったときに備える必要があるからです。

 今回の参加者は女性が圧倒的に多く、男性はまばらでしたが、この点について「男性は女房が面倒を見てくれる・・・・と思い込んでいるから」だといっていました。老人ホームを見にきたあるご夫婦は別々の部屋、それも隣の部屋はイヤ。できればフロアーも違う部屋にしてほしい、とその妻がいっていたとか。老人ホームに入ってまで亭主の面倒を見るのは勘弁してほしいという笑えない話も紹介されました。
第5回
3月04日
  「住み慣れた家や地域で健やかに共に老いる!」地域の介護体験者
包括支援センター職員
 介護者教室の最終回は「住み慣れた家や地域で健やかにともに老いる」をテーマに、実際に妻の介護を体験されている佐藤昇一さん(桂台西在住)にお話を伺い、その後で地域包括支援センター職員多次淳一郎さんから今年度1回からの5回まで介護者教室のまとめの話がありました。

 冒頭、多次さんから栄区の高齢者の実態、介護認定を受けていても全員がサービスを受けているわけではなく、不自由を抱えながらも生活をしているのではないか、介護保険制度は万能ではなく、身内の方が足らない部分を補いながら暮らしていることが推察されるという話がありました。

 その実例として紹介された佐藤さんの体験談は超老々介護の現実を伝えてくれました。現在94歳の佐藤さんは長年、奥様の介護をされてきました。入院中の奥様は現在92歳で要介護5。当初は在宅介護をしていたそうで、慣れない家事に困り果てた末、ケアプラザに相談、ヘルパー派遣、訪問看護師、それから電動ベッドのレンタルと、介護保険サービスを受けるようになったということです。今一番後悔しているのは、胃ろうの処置をしたこと。老々介護で、栄養不足を心配した医者のすすめでもあったけれど、看護士か家族にその処置を限定される胃ろうは、人材不足のせいか、近くに施設があっても思うように受け入れてくれない。また口から食事をしなくなって口数がすくなくなり、話がろくにできなくなったと佐藤さんは口惜しそうでした。今は手足の硬直もあり、病院に行くたびにマッサージして帰ってくるが腰を痛めてしまったと語る佐藤さん。家に帰りたいと訴える妻を「最後は在宅で看取りたい」が、日中しっかりした人がいないと自宅介護は無理なので、これからどうしようかと考えているところだそうです。

 ティータイムをはさんで、多次さんから今回の介護者教室のまとめをしていただきました。
1.手をあげる勇気、声をかける勇気
本人が手をあげることはもちろんだが、一緒に手をあげる人は誰か。また困っている人に声かけをする勇気も大切。
2.本人が望む暮らし、家族が望む暮らし
本人がどう暮らしたいのか、目的を持って生きることが自分らしく生きることになる。
3.老いは一方通行ではない
老いに気付いたら、予防に努める。
4.サービスは点、暮らしは線
公的サービスはすべてを補えるわけではないので、自分でできることは自分でする。家族も支えあう。また地域でできることもあるはずで、そういう地域づくりが必要。